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○ホームネットワーク快適化&高信頼度化プロジェクト(その1)
無線LAN環境を改善するには、無線LANの親機、子機を通信速度の速いものに変えるのが手っ取り早い方法です。
無線LANの通信規格、速度は年々進化してきており、当初は11Mbpsの速度しか出なかったのに、今や最大300Mbpsの製品が当たり前になっています。もう少しすれば600Mbpsの速度が出そうな感じですね。
現在の通信規格について改めて調べたので、今後のために少しメモ書きしておきます。
11bは無線LANの初期から存在する最もスタンダードな規格。それだけに対応機器が多いのが特徴です。壁などの障害物に強く、伝送距離も比較的長いため、オフィスや壁面の多い家庭内の1階と2階の通信などに向いています。ただ、11Mbpsしか速度が出ないので、パソコンのデータ通信用機器として利用するにはもう時代遅れの感が否めません。
11gは11bのグレードアップ版。11bと互換性があり、最大で54Mbpsの通信速度です。我が家の現在の無線LANはこの11g対応の機器を利用しています。
11aは11gの後に登場した規格で、11gと同じく最大で54Mbpsの通信速度ですが、11b/11gと異なり、5.2GHz帯の周波数を利用するため、電子レンジやBluetoothなどの干渉を受けにくいという特徴があります。但し、壁などの障害物には弱いので、フロアを隔てた通信などには不向きと言われています。
11nは、IEEE委員会で検討中の最新の規格です。2007年には正式な規格になると言われながら2009年になっても未だ正式規格として発表できていないのですが・・・。現時点では無線LAN機器メーカー各社はIEEE委員化が発表した「ドラフト版(draft=草稿)」にもとづいて製品を作っています。
規格の特徴としては、複数のアンテナを使って、アクセスポイント(親機)とクライアント(子機)間の通信を行い、高速化と安定化を実現しているほか、平行してデータを運ぶ搬送波の数を増やしたり、データを待ち時間なしに連続転送するなど、さまざまな高速化のための技術を盛り込んでいることが挙げられます。
最終的には600Mbpsくらいの通信速度を実現できると言われていますが、現在市場に出ているドラフト版準拠(最速の通信速度は300Mbpsです。
ちょっと面倒なのは、利用する周波数帯が5GHz帯と2.4GHz帯の両方となっていること。
その結果、無線LAN機器によっては同じ11nでも、「周波数2.4GHz帯のときのみ300Mbps対応」だったり、「周波数5GHz帯のときのみ300Mbps対応」だったりと制限のある機器が存在することになりました。
例えば、BUFFALOのWZR-AGL300NHは、カタログで「300Mbps(11n、11a)と54Mbps(11g、11b)の同時接続対応。切り替えれば300Mbps(11n、11g、11b)としても使える」なんてうたい文句になっています。
これは、
○300Mbps(11n、11a)と54Mbps(11g、11b)の同時接続の時
→11n、11aを5GHz帯、11g、11bを2.4GHz帯で通信させることで、5GHz帯では54Mbps(11a)~300Mbps(11n)という通信を行い、同時に2.4GHz帯では11Mbps(11b)~54Mbps(11g)の通信を行う
→すなわち、2.4GHZ帯のみで11n対応の子機を買ってはいけない。
○300Mbps(11n、11g、11b)の時
→11Mbps(11b)~300Mbps(11n)の通信すべてを2.4GHz帯で行う
→すなわち、5GHZ帯のみで11n対応の子機を買ってはいけない。
なんてことになるわけです。
また、あくまでも今は「ドラフト版」なので、細かい仕様の1つ1つまで定められているわけではないはず。同じドラフト11n対応をうたっていながらも別会社の無線LAN機器同士だと相性が悪くて通信速度があがらない~なんて想像もできちゃったりします(そんなことはないとは思いますが)。
というわけで、今Draft11n対応の無線LAN機器を選ぶコツとしては・・・
○親機と子機は、Draft11nの最高速度が出せる周波数帯が一致しているかを確認
○できるだけ親機と子機のメーカーを合わせる
ことが大切でしょう。
そこで、我が家では無線LAN機器メーカー各社のカタログと口コミを考慮し、親機としてはDraft11n/a/g/b対応をうたっている次の3つから選択することにしました。
NECのAterm WR8500Nは、5GHz帯では、5.2GHz(4チャネル)以外にも5.3GHz(4チャネル)、5.6GHz(11チャネル)の計19チャネルという広い帯域でDraft11nの300Mbpsを使えるのが特徴で、近くの家の無線LAN機器との干渉が少ないため、高速かつ安定した通信ができることから口コミで高い評価を受けている製品です。
ただし、5GHz帯(11n、11a)と2.4GHz帯(11n、11g、11b)は同時利用できず、11g、11bのみ対応の無線LAN機器も利用したい場合は必然的に2.4GHz帯のみ利用することになります。
※手動でスイッチを切り換える仕組みです。
有線LANのポートもGigabit LAN(1000Mbps)に対応したものを4つ備えており、ハブとしても十分な機能を発揮できるでしょう。
BuffaloのWZR-AGL300NHは、5GHz帯では5.2GHz(4チャネル)と5.3GHz(4チャネル)が使えますが、Aterm WR8500Nの5.6GHz帯は使えません。
また、Aterm WR8500Nと同じく、5GHz帯(11n、11a)と2.4GHz帯(11n、11g、11b)は同時利用できず、11g、11bのみ対応の無線LAN機器も利用したい場合は必然的に2.4GHz帯のみ利用することになります。
※専用の設定画面で切り換える仕組みです。
有線LANのポートもAterm WR8500Nと同じく、Gigabit LAN(1000Mbps)に対応したものを4つ備えています。
一方、Aterm WR8500Nにない機能として、無線LANのデータを暗号化するにあたり、マルチセキュリティ(AES、WEP、TKIPの3種)に対応していることが挙げられます。これは、データ暗号化方式が異なる複数の子機を同時接続できる機能で、例えばパソコンは最もセキュリティ効果の高いAESで接続、セキュリティ効果が低いもののWEPしか対応していない任天堂DSはWEPで接続といったことができます。
ただし、この機能はBuffaloが提唱する「AOSS」というワンタッチで無線接続を行う機能にそれぞれの子機が対応していなくてはなりません。(1つでも手動で設定したい、しなければならない子機がある場合は使えません)
BuffaloのWZR-AMPG300NHは、WZR-AGL300NHの機能とほぼ一緒ですが、最大の違いとして、5GHz帯と2.4GHz帯を同時に利用できる点が挙げられます。
ただし、WZR-AGL300NHよりも1万円弱値段が高いです。
任天堂WiiやDSなどの11g、11bのみ対応する子機を利用しながら、パソコンは他の家と干渉が少ない5GHz帯で11nの300Mbps通信を楽しみたいという場合、WZR-AMPG300NHが最適ですが、11g、11bのみ対応する子機を使うときはパソコンを利用しない、または2.4GHzで通信するよう設定を切り替える手間を惜しまないという場合には、価格の安いAterm WR8500N、WZR-AGL300NHでも十分という判断ができます。
我が家の場合、任天堂WiiとDSがありますが、11g対応無線LAN親機があるので、そのまま任天堂WiiとDS専用機として利用すれば、WZR-AMPG300NHを選ぶ必要はありません。
5GHz帯のことだけ考えていればよいとなると、Aterm WR8500NとWZR-AGL300NHを見比べた場合、どう考えても5.6GHzも利用可能なAterm WR8500Nのほうがベストチョイスですね。
しかし、問題は子機となるノートパソコンです。
Aterm WR8500Nの能力を最大限に引き出して300Mbps通信を行うためには、専用の子機であるPA-WL300NCを購入するのが最適です。
ところが、これは対応スロットがCardBus PCカードスロットなんです。
確かに一般的なノートパソコンのスロットはCard Bus PCカードスロットなんですけど・・・。
我が家のノートパソコンを見てみたら、
○DELL Inspiron Mini 9 → スロットなし。
○DELL Inspiron 630m → Express Cardスロット
○HP Compaq6720s → Express Cardスロット
でした。
Express CardはCard Bus PCカードの後継として作られた規格で、Card Bus PCカード用につくられたものは全部Express Cardに置き換わる!なんて言われていたものですが、市場ではいまだにCardBus PCカード用の製品ばかり。
一応、USBに接続するタイプの子機も各社から出ているので、Inspiron Mini 9はUSBタイプを選ぶしかないのですが、アンテナの感度が悪いことはすでに体験済み。できるだけExpress Cardの子機が欲しいです。
現在、Express Cardの子機でDraft11n、300Mbps通信対応をうたっている製品で、それなりに有名なものはBuffaloのWLI-EXC-AG300Nと、PLANEXのGW-EX300Nの2つ。
こうなると、親機、子機は同じメーカーであるほうがよいという話にもどるわけです。
そんなわけで、私は次のように選択することにしました。
<新規購入>
○Buffalo WZR-AGL300NH(親機。5GHz帯でDraft11nの300Mbps通信用。)
○WLI-EXC-AG300N(子機。DELL Inspiron 630m、HP Compaq6720s用)
<既存品利用継続>
○Buffalo WLA-G54(親機。2.4GHz帯で54Mbps通信用。)
※任天堂Wii、DS用
※DELL Inspiron Mini 9はUSBタイプしか子機の選択肢がないため、当面の間は子機の購入を見送りし、無線LANはBuffalo WLA-G54で対応。
2009年5月 5日